うさ太郎と竜田肉号
ep12.さよならカルルス
・カルルスならもう行っちまったよ。
・そうですか…。
・あの…どっちへ?
・北へ向かったよ。
・馬車ですよね?
・そう。
カルルス!!!!
何事だ!
ジュリエッタ??
ここはどこ?私は誰?
何も見えない!
見え…ました。
・カルルスさん?
・痛い所は無いかい?とくに顔面。
大丈夫です…あ、あの…。
・カルルスさん!船乗りを辞めてしまうの?
・え?まぁ…しばらくは陸上の仕事をやるつもさ。
・しばらくという事は、いずれまた船に乗るかもしれないってことですか?
・かもしれないといえばそうだけど。どうして?
・いえ、「TASTUTANIC」号に乗るのが夢だと言っていたので…。
そんな事を気にかけてくれてたのか…。
ふうん…。
そうか、よし!
それなら、いつかまた海に戻って「TASTUTANIC」号のクルーになりますよ。
今はできないけれど、いつの日かきっと!
・本当ですか!!
・本当さ。
・ありがとう。
・いいえ…。
あ、そうだ!
・何もあげるものがないけれど、これを餞別にどうぞ。
いつの日かジュリエッタさんに大切な人ができたら
その人と一緒に飲んでください。
…はい…。
・さて、もう行く時間だ。立てるかい?
・はい…。
あっ上着が!
汚してすみません。クリーニングして返します!
あらっ、クリーニングしている場合じゃないですよね。
フフフ、やっぱりジュリエッタさんは面白いな!
そのままのジュリエッタさんらしいコンシェルジュになってください。
またいつの日か「TASTUTANIC」号で会おう!
・おっちゃん、町まで乗せておくれ。
・いいとも。
・ジュリエッタさん、お元気で!
・あ、あの!私…。
私はカルルスさんの事が…。
あのーー!
カルルスさんが…好き…。
これは!!
カルルスさんと奥様の写真!?
そして私の足跡!!!
おっちゃん…。
出会いってなんなんだろうね?
なんだか俺…ここらへんが。
痛いよ…。
・いい天気だ。おお!お嬢ちゃん、会えたかい?
・お煎餅もらいました。へへへへへ…。
・それは俺があげたワイン…?
抜けないです…めっちゃ痛いです…。
あ、ヘレンさん、お煎餅もらいましたよ。
水のお煎餅なんてめずらしいですよね?
結局、告白できたのか?ハッキリ言いなさい…!
…よくわかりません。
自分が何をしに行ったのか。何を伝えたかったのか…。
へへへ…せっかくヘレンさんがくれたチャンスを無駄にして…。
私はいつも…。
本当にバカですね。
you go…。
行かせるんじゃなかった…。
行かせるんじゃなかった!!!!
ワイン一本で手切れ金のつもりか…。
ふふっ…ずいぶん軽く見られたものね…。
カルルス許さん!!!
ヘレン。カルルスを駆逐に向かいます。
・カルルス go to hell!!!
・Msヘレンさん、その体でどこへ?
・どけ!
・ダメですヘレンさん、行ってはいけません…!
地球連邦軍バンザーイ…。
ようよう、男は星の数ほどいるんだからよ、次にいこう!
わわわ!!!
・結局のところ、あんたがお子ちゃまだったのよ。
・ヘレンさんは…ヘレップシ。
・人の名前でクシャミするんじゃない!
・これを羽織りなさい!
・大丈夫ですよ、ヘレンさんのほうこそ病み上がりなんですよ!
・いいから、私をメーテルだと思いなさい…。
・何ですか?
・あんた!銀河鉄道のメーテルも知らないで
立派なコンシェルジュになれると思っているの?
・ヘレンさん、髪の毛が鼻にかかってくすぐったいです。
・笑ったな!貴様!メーテル様を笑ったな!
機械化母星の女王だぞ!千年女王の子供だぞ!
・あっはっは!もうわけわからないです。ヘレンさんは面白い!
・ZZZZ
・寝ちゃった…。
ヘレンさんて、やっぱりやさしいなぁ。
一生懸命に励ましてくれて…。
・あ、そうだ!カルルスさんにコーヒー代のツケをもらってない。
・うーん…コーヒー…ジュリ…早く持ってきなさい…。
まったくもう…とろいんだから…。
・なんだお前等、びっくりした!
・ううーん…。
・わわ!もう朝!
・…ううん…。
うわっ寒い!
・や、ヤバい…おしっこ限界…。
・ヘレンさんと朝帰りしてしまったです。
・コラ!誰が朝帰りしたってのよ!!
・あぁ、忙しい、忙しい!
・毛布と一緒にカップも飛ばされちゃいました!
また主任に怒られちゃいます!
・あんたの給料からさっぴきね。
しかたない。一緒に怒られてあげるわよ。
そして…。
数年がたち…「TASTUTANIC」号は艤装工程に入った。