うさ太郎と竜田肉号
ep2.ペリーヌ遠い記憶
・ding dong.
・どなた?
・よう!スズメのすずぼー。
俺だ!うさ太郎伝だ!
旅に出ようぜ!
・そういえば、そうなフレーズのマンガが昔あったような。
「朝太郎伝」。
・似合うじゃん。
・よし合格だ。乗れ!
・なんのことだ?ところで荷台に乗れないぞ
・細かいやつだな
そもそも、すずぼー!
お前、縮尺間違ってるぞ。
本当はこんな感じじゃないのか?
・そりゃそうだ問題解決レッツゴー。
・いい天気だぜ。
・ところで旅ってどこに行くんだ?
・目的地はないよ。強いて言うならば、お前らと一緒にいたいって事くらいだ。
・つまり、あてもなく走っている。これ自体が目的な訳ですな。
・おー!カメ父、はじめてのコメントですね!
・父!空腹です!
・おお、もうそんな時間か。
・うさ太郎、おれちょっと見てみるよ。
・Thanks!
・100m前方にレストラン発見!
・kk!
・いらっしゃいませ…あ!誠に申し訳ございませんが
当店ではペットの入店はできません。
・あそう…みんなごめん。
・うさぎ様、あなたもでございます。
・なんだとコラぁ!俺はペットじゃねー!
・まさか?…それって僕たちはペットってこと?
今、言ったよね?
「オレはペットじゃねー」って。
僕たちの事は外に出そうとしたのに…?
・そ、それは…まず俺が代表で食事を受け取ってから、
その後みんなに配ろうかなと思って…。
・僕らって、うさ太郎のペットなのかな?ペットなのかな?
・とんでもない、お前らは俺の大切な仲間です…。
・ペットなのかな?
・「お客様、お静かに願います」
・そうだった。もとはといえば、お前のせいだ。
・って、おい!お前は犬じゃないか!
・はい?何か?
何か?じゃねーよ!
(以下略)
何か?
・あ、あなたも一緒にレッツダンシング!
・父!素晴らしいターンです!
・騒がしいですこと。何事ですかバロン?
・これはこれはMs ペリーヌ・ディオン様
・お客様、バロンが何か不手際をしてしまいましか?
・no no it's okay
・あれ?ペリーヌ・ディオンって、もしかしてあの「TASTUTANIC」号の?
・いかにも。
世界最大と称賛された豪華客船「TASTUTANIC」号の沈没という惨劇から
奇跡的にご生還されたMs ペリーヌ・ディオン様でございます。
・すごい!まさかペリーヌ本人に会えるとは信じられない!
・私の話を聞きたいかしら?
・ぜひ聞きたい!
・あらぁ、全部聞きたくないの?
・?だから聞きたいっていってるでしょ?
ボケてるのか婆さん?
・ど、どうぞ…。
・そう、あれはまだ私が…。
17才の頃の話よ。 この絵のモデルは私なのよ。グラマーでしょ?
歴史的な超豪華客船に誰もが我を見失うほど興奮していたわ。
…でも私の心は絶望に張り裂けそうだったわ。
世界一大きな豪華客船でも、私には霧の中に霞んで見えたわ。
・あら?全部聞きたくないの?
・あーー!戻って欲しくなかったなー!!
・私は17才になったばかり。
でも、もう婚約者がいたの。親同士の一方的な縁談だったわ。
・おお、ペリーヌ どうしたんだい?沈んだ顔をして。船だけに沈んではいけないよ!
さぁ、僕の羽の中へ飛び込んでおいで!
な、なんてことでしょう?
あのカメの殿方は私を見た瞬間に吐いたわ!
ど、どういうことなの?
何かの間違いじゃないかしら?
そうよ、間違いに違いないわ?
こ、今度は皆が私を見て笑ってる?どうしてなの?
おーい大丈夫か?はははは。
な、なんてことなの?
大勢でレディを笑うなんて失礼よ!
尻、尻!
尻が出てるよ!傑作すぎだ!
え?尻?
どうして尻なの?
私の顔が尻に見えるって事なの???
でもおかしいわ!だって私は昔から皆に超かわいいって言われてる…。
あ!
負けないわ。
窓ガラスに映る私はきっと…。
※風圧でガラスが歪んでいる。
Oh my god!
信じられない。私って実はめっちゃ醜かったんだわ!
愛しのペリーヌよ。どこに行ったの~。